●黒って300色あんねん♪
最近、デジタルでの作品作りが増えていますが、やっぱり絵具はアートに欠かせない存在です。
黒一色とっても、ランプブラック、ピーチブラック、アイボリーブラックなど、さまざまな種類があります。ランプブラックは「スス」を原料にしたやや青みがかった黒。ピーチブラックは「桃の種」を焼いて作った黒。そしてアイボリーブラックは「炭化させた動物の骨」を原料とした、少し赤みのある黒です。
「動物の骨」という説明を聞いて、ふとひらめきました――もしかして「クジラの骨」で絵具が作れるのでは?と。
というわけで、あらたひとむのやってみたシリーズ第3弾!
『クジラの骨で絵具を作ってみる』 スタートです!
●クジラの骨で炭作り
まずは、アイボリーブラックの原料である「炭化させた骨」を再現するために、クジラの骨から炭を作ります。
※注意:個人で制作した方法です。安全のため真似しないでください。
今回はビーチコーミングで見つけた、スジイルカの骨とマッコウクジラの顎骨のかけらを使用しました。
空き缶に骨を入れ、アルミホイルで蓋をします。
中央に小さな穴を開け、ガスコンロで約20分加熱。アルミホイルの穴から白い煙が勢いよく出てきて、しばらくすると煙が止まりました。
冷めるのを待って中を確認すると……真っ黒な炭が完成!テンション上がりました♪
●骨炭を粉末に
このままでは絵具にはできないので、骨炭を粉末状にします。
試行錯誤した結果、ヤスリで削るのが一番きれいに粉末化できました。特に脊椎骨は中身がスカスカで削りやすかったです。この構造のおかげでクジラの骨は水中でより軽くなり骨内に油分を含ませる事ができるんです。
ここで一つ疑問が……。油分が多いクジラの骨で、水彩絵具を作れるのか?
●骨の粉を洗う
水彩絵具作りには、油分が邪魔になる可能性があるため、洗ってみることにしました。
この方法を思いついたのは、ちょうど観ていたコメディ映画『デュー・デート 〜出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断〜』のワンシーンがきっかけ。散骨用の骨で誤ってコーヒーを淹れてしまうシーンをヒントに、コーヒーフィルターを使うことにしました。
熱湯を使って骨粉を慎重に洗浄。
ドキドキしましたが、きれいにろ過できました!
●いよいよ絵具作り
今回はよく使う「水彩絵具」を作ります。
材料と道具
- 顔料:クジラの骨から作った「骨炭」
- メディウム:ホルベイン画材 アラビアゴムメディウム
- 防腐剤:ホルベイン画材 防腐剤
- 道具:ホルベイン画材 陶製練り板、練り棒、ペンチングナイフ
●絵具の完成
陶器製の練り板に骨炭と少量の水分、アラビアゴムメディウム、防腐剤を加え、圧をかけながら練り込みます。艶が出てくるまで、ひたすら練り込む作業を続けます。
完成した絵具は……黒というよりセピア色!粉末状では黒かったのに、なぜか赤みが出ています。不思議です。
最後にペンチングナイフで絵具をチューブに詰めて、ついに完成!
オリジナルでデザインしたラベルを貼って、おそらく世界初のクジラの骨で作られた絵具の誕生です!
次回はこの「黒鯨」を使って作品を描いてみたいと思います🎨
以上、あらたひとむの「クジラの骨で絵具を作ってみた」でした♪